将棋は、小学校の時代,当時の男子は、皆やっていたし、私も夢中になって友人と将
棋で遊んでいた。今のビデオゲームで遊ぶようなものである。
しかし、囲碁は全く知らなかった。周りにも囲碁をしている友人は誰もいなかったと思
う。
ところが、会社員になって多分私が35歳位の頃、定年近くの人が転勤して来て、会社
で囲碁サークルを作った。私も、誘われて加入し色々教えてもらった。
矢張りと言うべきか、囲碁も教わるだけではだめで、自分で定石とか手筋を学ばないと
上達しない。私を除く殆ど人がサークルから抜けて行った。
それで、昼休みとか終業後に、その人と囲碁を打つことが多く
なった。
一度、私は、その人に「自分の実力はどの程度か」と聞いたことがある。
「5級くらいは行っていると思う。」と言うのが答えだった。暫くして、その人は定年
で会社を去っていった。
その後は、社内で囲碁を打つことも余りなくなり、2~3ヵ月に1回程度は、囲碁好きな
先輩と、昼休み囲碁を打っていた。
それで「定年で会社を辞めて、時間に余裕が出来たらまた始めよう。」と思っていた。
それでも定年までは、テレビの囲碁番組は視聴していて、その後、囲碁好きな先輩もい
なくなり、全く囲碁を打つ機会がなくなっていた。
定年になって、囲碁を再開することにした。囲碁をやるからには、せめて初段位は取り
たいと思っていた。
それで以前買った囲碁の本を読み始め、公民館の囲碁サークルにも加入した。
それと、インターネットでの囲碁も打つようになった。当初は、8級くらいで申告して、
その後、勝ち進み、5級まで昇級した。
ある日、囲碁サークルへ顔を出すと、先生が小学校4~5年生くらいの女の子を指して
「この子と打って見ないかと」言ってくれた。そのサークルでは、小学生でも初段の子
もいたし、小学生と打つことに違和感はなかった。
打ってみると結構強かった。負けると思ったが終盤になって局面が逆転して私が辛うじ
て勝った。その子は、相当悔しそうな顔をしていた。
翌週、サークルに顔を出すと、その子も調度入室してきた。それで再度彼女と打つこと
となった。この時も、前回と同じで負けを覚悟したが終盤になって私が辛うじて勝つこ
とができた。
その次の週は、私が入室するなり、彼女が声を掛けてきた。私を待っていたようだ。
今度は、ずっと5分5分の形勢が続き、私の形成を打開する手が、悪手となって途中で
私は、負けの宣言をした。
翌週は、私が入室すると彼女が近づいて来て、話始めた「学校の作文で賞を取った。」
と言う。聞くと「おじさんとの囲碁の3番勝負を作文にしたら、一等賞になった。」と
言うのである。
「それは良かったね。」と返事した。本当に彼女の顔は嬉しそうであった。
その後、どういう訳か、インターネット囲碁で、もう直ぐ4級に手が届くという時から、
ドンドン負け始めた。
そして、後1敗すると6級に落ちると言う局面が来て、私は、囲碁を諦めることにした。
それにしても、彼女の一等賞の作文を読んでみたいものだ。